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私、ことりはかつて吉本興業で4年少々芸人やっておりました。今もお笑いが好きというのは変わらず、いわゆる賞レースの決勝は毎回録画して自分なりに採点して順位をつけております。
今回はキングオブコント2022決勝を勝手に採点してみました。
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キングオブコント2022の採点をしてみた
キングオブコント2022決勝の審査方法は昨年同様に
- 5人の審査員が1人100点の持ち点で審査。
- 審査員は2年連続同じメンツ。
- 「ファーストステージ」は各組それぞれネタ終了後、得点上位3組が「ファイナルステージ」に進出。
- 「ファイナルステージ」で2本目のネタを披露し、「ファーストステージ」の得点と、「ファイナルステージ」の得点を合計し、合計点の最も高い組が優勝となる。
という方式です。
項目に分けて勝手に採点
今回私は項目に分けて勝手に採点し、その合計点を芸人ごとに出してみました(以下敬称略)。
- 合計100点満点で採点。
- 【構成】:25点満点(決勝に出てくる最低ラインを20点)。
- 【表現力】:25点満点(決勝に出てくる最低ラインを20点)。
- 【オリジナリティー】:20点満点(同じく決勝最低ラインを15点)。
- 【客受け】:20点満点(同じく決勝最低ラインを15点)。
- 【エクストラポイント】:10点満点で基準点は5、クスッとくるポイントがあれば加点、あとは出番順や個人的つぼなどで加点。
ファーストステージ
①クロコップ
構成 | 24/25 |
表現力 | 24/25 |
オリジナリティー | 18/20 |
客受け | 19/20 |
エクストラポイント | 8/10 |
合計 | 93/100 |
最初の設定を分からせた上での掴みの早さで1ポイント、カードの使い方の巧みさで飽きさせない展開に1ポイント、最後ハシゴに捉まりヘリコプターでハケる展開に1ポイントで、エクストラポイントは8になりました。
寸評
- 最低限のセリフで設定を観客に分からせて、BGMと演技力で設定に引き込む巧さと、最後のヘリコプターでのハケまで5分間を飽きさせずに使う構成がお見事。
- バカバカしいことを仰々しく、無駄なく緻密に演じられたショーでした。
- トップバッターとしての重責を果たし、前年の蛙亭同様クロコップが今大会のいい流れを作ってくれたのは間違いないと思います。
審査員の点数
山内健司 | 秋山竜次 | 小峠英二 | 飯塚悟志 | 松本人志 | 合計 |
90 | 93 | 94 | 90 | 93 | 460 |
②ネルソンズ
構成 | 23/25 |
表現力 | 24/25 |
オリジナリティー | 17/20 |
客受け | 18/20 |
エクストラポイント | 8/10 |
合計 | 90/100 |
和田まんじゅうのセリフ「敵ばっかりじゃん」で1ポイント、「俺の何がよかった」で1ポイント、「今二次会だぞ」で1ポイントで、エクストラポイントは8になりました。
寸評
- 設定と3人のキャラクターと構図がわかりやすいコント。和田まんじゅうの表情やセリフで、しっかりウケを取ってました。
- ただ設定が、結婚式の最中に男が新婦を奪いにくるという映画「卒業」のいわゆるパロディである点はコンテストにおいては、減点対象になりうるかと。
- 結婚式の参列者の使い方や、足の速さを競うくだりなど、展開もよく考えられていました。しかし欲を言えば、例えば新婦の過去が明らかになるとか、もう一展開欲しいなと思いました。
審査員の点数
山内健司 | 秋山竜次 | 小峠英二 | 飯塚悟志 | 松本人志 | 合計 |
96 | 92 | 92 | 94 | 92 | 466 |
③かが屋
構成 | 24/25 |
表現力 | 24/25 |
オリジナリティー | 19/20 |
客受け | 19/20 |
エクストラポイント | 9/10 |
合計 | 95/100 |
「加賀君ってほんとにドM」で1ポイント、「あんたなんか待たせてもいいんだけどさ」で1ポイント、「僕はドMなんで全然大丈夫です」で1ポイント、「どんだけ待たせるんだこのノロマ」で1ポイントで、エクストラポイントは9に。
寸評
- 基本的に2人の会話のやりとりだけで大きな笑いを取っており見事。その実力をまざまざと見せつけてくれました。
- 途中、それぞれ1回ずつ扉の向こうに行って第三者カオリさんとの電話のやりとりがあり、それによってストーリーが展開していく仕組みも巧み。扉を使用する加減もタイミングもベストだった。
- 強いて言えばどういう店なのか、どういうマスターなのかが分からず、逆にそこをネタに活かすことができたかもしれません。
- あと、BGMや照明を上手に活用すると、もっとネタに奥行きが出て笑いも増えたかもと、今後の期待も込めて記しておきます。
審査員の点数
山内健司 | 秋山竜次 | 小峠英二 | 飯塚悟志 | 松本人志 | 合計 |
94 | 93 | 93 | 92 | 91 | 463 |
④いぬ
構成 | 23/25 |
表現力 | 23/25 |
オリジナリティー | 18/20 |
客受け | 17/20 |
エクストラポイント | 7/10 |
合計 | 88/100 |
何度もいろんな体勢で繰り返されるキスで1ポイント、アクロバティックな体勢からのキスで1ポイント、エクストラポイントは7になりました。
寸評
- ボケセリフがほぼなく、ひたすらキスをし続けるバカバカしさはすごかった。
- 好き嫌い分かれるネタだとは思いますが、会場で悲鳴が起きずにしっかり笑いになっていたのはさすが。
- キスの繰り返しだけで5分間というのは少し長く感じてしまった。審査員からもコメントがあったように3分くらいが限界のネタかなと思い、私の点数は低めになりました。
審査員の点数
山内健司 | 秋山竜次 | 小峠英二 | 飯塚悟志 | 松本人志 | 合計 |
91 | 94 | 90 | 89 | 95 | 459 |
⑤ロングコートダディ
構成 | 24/25 |
表現力 | 24/25 |
オリジナリティー | 18/20 |
客受け | 18/20 |
エクストラポイント | 8/10 |
合計 | 92/100 |
「他の人の料理が食べられなくなるぜ」で1ポイントで、「吸ったやつどこいってます」で1ポイント、「目的を理解してないんですよね」で1ポイントで、エクストラポイントは8になりました。
寸評
- いわゆる天丼、同じシチュエーションの繰り返しの中で、さまざまなボケが展開されるネタだが、ボケの幅広さと種類の多さが素晴らしかった。
- 料理長のサイコパスっぷりが絶妙で、言動が逐一面白く、会場でもしっかりウケてました。
- 個人的に天丼がずっと続くのは飽きるというか、しつこく感じてしまいます。料理長の入場シーン以外の別の展開も、個人的には見てみたかった。
審査員の点数
山内健司 | 秋山竜次 | 小峠英二 | 飯塚悟志 | 松本人志 | 合計 |
92 | 95 | 92 | 92 | 90 | 461 |
⑥や団
構成 | 24/25 |
表現力 | 24/25 |
オリジナリティー | 19/20 |
客受け | 18/20 |
エクストラポイント | 9/10 |
合計 | 94/100 |
「なんでそんな慣れてんの」で1ポイント、「iPhone14 Proにしたばっかなんだろ」」で1ポイント、「ノリがアメリカのシリアルキラーなのよ」で1ポイント、「俺中島の方がこええよ」で1ポイント、でエクストラポイントは8。
寸評
- 3人それぞれの役割分担がしっかりしていて、ギリギリ観客が引かない狂気が笑いになっている秀逸なネタで、展開も演技の上手さも素晴らしかった。
- 無駄なところもなく、山場もいくつかあって台本自体の秀逸さはここまでで一番だと思った。しかし、ロバート秋山が「やばい劇団を見てるよう」と評したように、うがった見方をすると違う人達がこの本を演じても面白くなりそうだと感じてしまったのも事実。
- 演劇ではなくコントの大会という意味で言うならば、本だけではなく演じてる人の強さやバカバカしさというものが、評価の軸として大きい存在であるということを、このネタで改めて痛感しました。
審査員の点数
山内健司 | 秋山竜次 | 小峠英二 | 飯塚悟志 | 松本人志 | 合計 |
93 | 95 | 93 | 95 | 94 | 470 |
⑦コットン
構成 | 24/25 |
表現力 | 25/25 |
オリジナリティー | 18/20 |
客受け | 18/20 |
エクストラポイント | 8/10 |
合計 | 93/100 |
両手に持ったクイックルワイパーを同時に伸ばすところで1ポイント、「スミノフ、MIO、ほろ酔い」で1ポイント、きょんが電話完璧な応対した後の「どうぞ」で1ポイント、最後きょんがヅラを取り口紅を拭って男になるところで1ポイント加算でエクストラポイントは9になりました。
寸評
- 動きも小道具の使い方もセリフの一言一言も無駄なく淀みない展開で、5分間を上手く使い切った印象。
- 2人の演技も素晴らしく、特にきょんの男女の演じ分けは素晴らしかった。
- もう1箇所でもドカンと爆発するような箇所があれば、個人的にはあと2点くらい高い点を付けたかなと思います。
審査員の点数
山内健司 | 秋山竜次 | 小峠英二 | 飯塚悟志 | 松本人志 | 合計 |
96 | 96 | 91 | 91 | 96 | 453 |
⑧ビスケットブラザーズ
構成 | 24/25 |
表現力 | 24/25 |
オリジナリティー | 19/20 |
客受け | 19/20 |
エクストラポイント | 8/10 |
合計 | 94/100 |
ボケの原田の登場シーンでしっかり掴めて拍手笑いが起き1ポイント、「さっき拾ったお気に入りの棒」で1ポイント、後半2人で野犬と対峙するシーンの音楽もハマり1ポイント、エクストラポイントは計8ポイント。
寸評
- くだらなさとバカバカしさが突き抜けていて、5分の面白いギャグ漫画を見てるような印象。
- 2人の世界に上手く観客を巻き込むことができて、手数も多くボケがきっちりハマってました。おそらく会場ではテレビで観る以上に爆発的にウケていたのだろうと思われます。
- もう1本はどんなネタなんだろう、他にどんな武器があるんだろうと期待感を持たせてくれるコンビでもあり、そこも高い点数に繋がった可能性があります。
審査員の点数
山内健司 | 秋山竜次 | 小峠英二 | 飯塚悟志 | 松本人志 | 合計 |
95 | 96 | 97 | 95 | 98 | 481 |
⑨ニッポンの社長
構成 | 23/25 |
表現力 | 24/25 |
オリジナリティー | 17/20 |
客受け | 18/20 |
エクストラポイント | 7/10 |
合計 | 89/100 |
「やっぱええわ」からの1発目の暗転ピンスポがバシッと決まり1ポイント、ピンスポと表情の天丼がしっかり観客にハマって1ポイントで、エクストラポイントは計7ポイント。
寸評
- 音楽と照明(ピンスポ)を巧みに使った天丼ではあったが、同じく天丼を多用するロングコートダディよりも、パターンが均一化されてる印象。
- 後半で変化球で自販機のネタを入れてたが、変化球の割には曲がりが少なく感じてしまった。
- 審査員からも指摘があったが、暗転を挟むとそこで観客の感情やテンションがリセットされてしまうので、明転した際にそれを上回る爆発力が必要になるが、このネタはそこまでの火力を感じなかった。
審査員の点数
山内健司 | 秋山竜次 | 小峠英二 | 飯塚悟志 | 松本人志 | 合計 |
89 | 93 | 92 | 91 | 90 | 455 |
⑩最高の人間
構成 | 24/25 |
表現力 | 25/25 |
オリジナリティー | 19/20 |
客受け | 18/20 |
エクストラポイント | 10/10 |
合計 | 96/100 |
「はい、こうなってください」で1ポイント、「はい、これできる人いる」で1ポイント、「逃げて」タイミングとトーンの絶妙さで2ポイント、最後躊躇いなくボタンを押すオチで1ポイントで、エキストラポイントは合計7になりました。
寸評
- ピン芸人同士のユニットとは思えない完成度で、めまぐるしい展開や登場人間の狂気性など、飽きさせずに引き込まれるネタ。個人的にはファーストステージで一番ハマりました。
- 笑いが起きる箇所が他の上位の組に比べると若干少なかったところが、審査員の点数が伸びなかった要因かもしれません。
- あとは、岡野の緊張感が画面越しにも伝わったのがもったいなかった。
- この2人にしか作れない世界・コントがまだまだあると思うので、引き続きユニットとして活動してほしいです。
審査員の点数
山内健司 | 秋山竜次 | 小峠英二 | 飯塚悟志 | 松本人志 | 合計 |
91 | 92 | 93 | 93 | 93 | 462 |
ファーストステージの結果
私の採点の上位3組は
- 1位:最高の人間96点
- 2位:かが屋95点
- 3位タイ:や団94点
- 3位タイ:ビスケットブラザーズ94点
でしたが、審査の結果ファイナスステージに進出したのは
- 1位:ビスケットブラザーズ481点
- 2位タイ:や団470点
- 2位タイ:コットン470点
の3組となりました。
ファイナルステージ
①や団
構成 | 25/25 |
表現力 | 24/25 |
オリジナリティー | 19/20 |
客受け | 19/20 |
エクストラポイント | 10/10 |
合計 | 97/100 |
ずぶ濡れ〜「諦めちゃってるな」で拍手笑いが起きて1ポイント、水墨画のくだりで1ポイント、「どうすりゃよかったのよ」で1ポイント、「濡れて開き直った人間の可動域」〜「着ぐるみ脱いだ人間の可動域」で1ポイント、「ホワイトジーンズなんてどうなったっていいんだよ」で1ポイントで、エクストラポイントは10になりました。
寸評
- 構成と流れがすごく練られていて、淀みない展開でありながら意外性と裏切りもあり、言葉・動きでのボケ数も多く、個人的には非の打ち所がないネタです。
- 1本目からパワーダウンすることなく、きっちり外さず笑いをかっさらっていて素晴らしかった。
- や団の1本目のネタでも触れましたが、強いて足りないところと言うと、バカバカしさや演じてる3人の人としてのパワーということになってしまうのかなと。ただそれはや団に必要なものかと言われると、難しい問題ではあります。
審査員の点数
山内健司 | 秋山竜次 | 小峠英二 | 飯塚悟志 | 松本人志 | 合計 |
95 | 94 | 94 | 96 | 94 | 473 |
ファーストステージ | ファイナルステージ | 合計 |
470 | 473 | 943 |
②コットン
構成 | 24/25 |
表現力 | 25/25 |
オリジナリティー | 18/20 |
客受け | 19/20 |
エクストラポイント | 9/10 |
合計 | 95/100 |
タバコを吸い始めるタイミングと演技の絶妙さで笑いが起き1ポイント、タバコの煙での輪っか〜五輪〜ブルーインパルスのコンボで1ポイント、プロポーズからタバコの煙で指輪を作るオチでドカンとウケて終わり2ポイントで、エクストラポイントは9になりました。
寸評
-
2人の演技力、動きとセリフでしっかりウケを取る力が見事で、タバコを吸い始めるタイミングやBGMの使い方なども秀逸。特に最後のプロポーズからオチの流れは完璧で、爆笑が起きて暗転という理想的な終わり方でした。
- 2人のやりとりだけで5分持つと言えば持つのですが、強いて言うなら喫茶店という設定なのに、他の客や店員の存在を利用しないのはもったいないかもと思ってしまった。
- プロポーズにいくまでの途中で何かもうひと展開欲しかったと個人的には思います。
審査員の点数
山内健司 | 秋山竜次 | 小峠英二 | 飯塚悟志 | 松本人志 | 合計 |
96 | 95 | 95 | 95 | 93 | 474 |
ファーストステージ | ファイナルステージ | 合計 |
470 | 474 | 944 |
③ビスケットブラザーズ
構成 | 24/25 |
表現力 | 24/25 |
オリジナリティー | 19/20 |
客受け | 19/20 |
エクストラポイント | 10/10 |
合計 | 96 |
「紹介してもらったダイスケです」で拍手笑いが起きて1ポイント、「絶対に初めてです」で1ポイント、「そんなことばっかり言ってたらダイスケがくるよ」で1ポイント、ダイスケが好きなの〜「難しいって」で1ポイント、「ダイスケでもないんだ」のオチが決まって1ポイントで、計10ポイント
寸評
- 2本目もバカバカしさが突き抜けていて、ギャク漫画的世界観は唯一無二。
- とはいえボケの原田が脱いで女性から男性になる瞬間や、ヅラのつけ外しなど、少しタイミングがずれるとネタのリズムが崩れそうネタを、完璧な間で堂々とやりきったのはさすが。
- 2本目で失速することなく、この2人でしかできない世界観をミスなく演じきって、1本目でのリードをしっかり守りきりました。
審査員の点数
山内健司 | 秋山竜次 | 小峠英二 | 飯塚悟志 | 松本人志 | 合計 |
95 | 96 | 96 | 97 | 98 | 482 |
ファーストステージ | ファイナルステージ | 合計 |
481 | 482 | 963 |
ファイナルステージの結果
私の採点結果は
- 1位:や団97点、
- 2位:ビスケットブラザーズ96点
- 3位:コットン95点
でしたが、審査員の点数は
- 1位:ビスケットブラザーズ963点
- 2位:コットン944点
- 3位:や団943点
ビスケットブラザーズが優勝。昨年に続き全体のレベルが高く、極端にすべったコンビ・トリオがいなかった印象です。また、今年はファイナルステージに残った3組の2本目のネタが、どれも1本目と違うパターンで、かつ遜色ないネタでした。2本強いネタを揃えないと勝てないという、大会のレベルの高さを物語る結果となりました。
ということで、キングオブコント2022の採点をしてみました。次回、審査員の点数の分析や大会関しての考察に続きます。